人工臓器
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宿主細胞により再構築される抗血栓性心臓壁補填材料
大越 隆文野一色 泰晴冨澤 康子森島 正恵小柳 仁
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1989 年 18 巻 1 号 p. 50-53

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抄録
理想的な心臓壁補填材料の開発を目的としてコラーゲン被覆超極細ポリエステル繊維製メッシュ(CUFP-1)を開発し, 動物実験にて, 易縫合性, 抗血栓性, 新生内膜固着性に関し, グルタールアルデヒド処理馬心膜よりも優れていることを既に報告した。CUFP-1ではコラーゲンを自然乾燥していたが, 今回は, コラーゲンの凍結乾燥法を導入したCUFP-2を作製した。そして成犬の右室流出路に両者をパッチとして縫着し評価した。両者とも手術操作性は優れていた。肉眼所見では, 両者とも殆ど血栓形成はなかった。光顕所見では, CUFP-2はCUFP-1よりも, 新生内膜形成および材料壁再構築がさらに促進された。CUFP-2のコラーゲンは緻密な多孔性の立体構造を持ち, 細胞の侵入, 増殖に有利である。CUFP-1は70%エタノール消毒, 保存されていたが, CUFP-2はエチレンオキサイドガス消毒が可能となり, 保存もより簡便にできた。
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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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