1989 年 18 巻 3 号 p. 1124-1127
β2-microglobulin(以下β2-MG)は濾過で除去するのが好ましいが、通常の透析治療で除去できれば、安価で操作が煩雑とならずに透析患者を治療することが可能となる。拡散だけでどこまでβ2-MGの除去が可能か、新しく開発されたハイフラクッス透析膜を用いて検討を行った。放射性同位元素で標識したβ2-MGを中空糸透析膜一本に充填して一定時間透析を行い、中空糸内部の残存溶質濃度を測定し溶質透過係数を求めた。得られた溶質透過係数よりdiffusive clearanceを算出したところ、酢酸セルロースを膜素材とするCT-190GAは拡散だけで十分なclearanceが得られることがわかった。逆濾過がβ2-MGの溶質移動に及ぼす影響を検討するため、並流および向流で操作したときのmyoglobinのclearanceを測定した。並流と向流でclearanceはほぼ同じ値を示し、中分子量物質の除去においては逆濾過は溶質の移動にほとんど影響していないことがわかった。