人工臓器
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血液透析用抗凝固薬としての低分子ヘパリンの有用性について
金森 直明飯塚 一秀衣笠 えり子関口 高秋沢 忠男北岡 建樹越川 昭三
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1989 年 18 巻 3 号 p. 1203-1206

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抄録
低分子ヘパリン(LH)の血液透析(HD)用抗凝固薬としての有用性を明らかにする目的で、その効果を従来のヘパリン(OH)と比較検討した。OH、LHを使用したHD中のセライト活性化凝固時間(CCT)、活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT)の延長は、同じ抗Xa活性(aXa)下ではLHでOHに比し有意に軽度で、同力価のOHとLHを使用した場合にはLHでaXaは有意に上昇した。透析器の圧損失を指標にヘパリン必要量を検討すると、LHでOHに比し少量投与で透析が可能であった。LHのモニター法として新たに開発したXa凝固時間(XCT)はaXaと高い相関性を有した。LHの単回静注のみでHDを施行し、aXa、XCT、APTT、LHの半減期、回路内残血・凝血を検討した結果、回路内残血・凝血は軽度で、LHの単回静注のみによるHDが可能であった。この時、LHの半減期は約150分でHD終了時にもaXa、XCTはHD前に比し高値を維持した。以上よりLHは少量、単回投与で抗凝固作用を発揮、かつAPTT、CCTなどの延長作用は軽度であることが示された。
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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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