人工臓器
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非侵襲的血糖計測法の開発
―ATRプリズムを用いたフーリエ変換赤外分光分析法による基礎的検討―
梶原 研一郎福島 英生七里 元亮河盛 隆造山崎 義光
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1989 年 18 巻 3 号 p. 1328-1331

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抄録
セレン化亜鉛内部多重全反射プリズムを応用したフーリエ変換赤外分光分析装置を用い、体液成分、殊、にブドウ糖濃度の非侵襲的、即時的計測を試みた。ブドウ糖溶液と水の差スペクトルは波数1033および1080cm-1でピークを示し、頂点強度法および面積強度法計測した変数はブドウ糖濃度と高い相関を示した。アルブミン、コレステロール、尿素、尿酸の各溶液のうち、アルブミンはブドウ糖固有のピークに一致したピークがあり、干渉する可能性が考えられた。血清、血漿では1033cm-1のピークの頂点強度の絶対値および面積吸光度と血糖値の間に有意の相関を認めた。また、全血試料、指尖皮膚組織、口唇粘膜組織でもブドウ糖固有のピークを認めた。これらの結果より、赤外合光光度計の応用により、生体内ブドウ糖濃度の非侵襲的計測の可能性が示唆されたが、定量的解析のためのよりよい検量線の作成が急務である。
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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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