人工臓器
Online ISSN : 1883-6097
Print ISSN : 0300-0818
ISSN-L : 0300-0818
Björk-Shiley monostrut valveの臨床経験
松井 道彦矢田 雄滋小柳 勝司望月 吉彦森田 紀代造若林 研司佐々木 達海古川 仁堀越 茂樹新井 達太
著者情報
ジャーナル フリー

1990 年 19 巻 1 号 p. 290-293

詳細
抄録

Björk-Shiley monostrut valveで大動脈弁を置換し2年以上経過した33例と, sphrical valveで大動脈弁置換した24例の臨床像を比較検討した。sphrical弁使用群では病院死2例を認め, 遠隔死はなく, 術後約4年の生存率は91.7%であった。monostrut弁使用群には病院死・遠隔死共になく, 約4年の生存率は100%であった。またmonostrut弁使用群では, 一例に術後22ケ月に脳血栓塞栓症を生じた。心胸郭比の改善・NYHA機能分類の改善, 及び術後のワーファリン投与量, トロンボテスト値などには有意差を認めなかった。溶血の指標となる血清LDH値は, 術前249.3±52.3IU/Lから術直後は334.5±63.1IU/Lと上昇するが, sphrical弁使用群では269.4±43.1IU/Lと下降するのに反して, monostrut弁使用群では379±54.7, 391.2±93.6と上昇し, 有意な増加を示した。この点を除けばmonostrut弁はsphrical弁と同様に優れた臨床像を示した。

著者関連情報
© 一般社団法人 日本人工臓器学会
前の記事 次の記事
feedback
Top