人工臓器
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開心術後のドレーン血返血におけるCell Saverの有用性
知花 幹雄樋上 哲哉小川 恭一麻田 達郎向原 伸彦西脇 正美芳村 直樹河村 剛史
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1990 年 19 巻 3 号 p. 1096-1099

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抄録

開心術後の他家血輸血量節減を目的としたドレーン血返血にCell Saverを使用し, その有用性について検討した。対象とした症例は18例で返血量は487±73ml (mean±SE)であり, 18例中15例が術後無輸血であった。ドレーン血には高度の溶血が認められ, 遊離ヘモグロビンは649.1±54.4mg/dlと高値であったが, Cell Saver処理により99.8±13.5mg/dlへ有意に減少し, その除去率は86%であった。その他, ドレーン血のアンモニア・総ビリルビン・K+・LDH・CPK・GOT・GPT・BUN・クレアチニン・総蛋白量・白血球数・血小板数も有意に減少した。赤血球数・ヘモグロビン・ヘマトクリットは増加したが, 有意差は認めなかった。術翌日のリザーバー残留血の培養では18例中1例も細菌を認めなかった。ドレーン血返血による生体への悪影響は認められず, 本法は他家血輸血量節減のための安全かつ有用な方法であると考えられた。

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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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