1992 年 21 巻 1 号 p. 130-135
胸部大動脈瘤手術の補助手段として、遠心ポンプを使用した56例の臨床成績を検討するとともに、従来の補助手段法と比較した。病型は下行大動脈瘤18例、胸腹部大動脈瘤18例、III型解離15例、残存解離再手術5例で、年齢は17~80歳(平均59歳)、男/女は37/19であった。遠心ポンプはBio-Medicus社のBio-pumpを使用し、左心バイパスを40例、動脈間バイパスを16例に行なって、手術は左開胸(胸腹部切開)下に人工血管置換を施行した。バイパス時間は平均148分、バイパス流量は平均2.1l/分で、下肢血圧は上肢の70%が維持され、尿量も平均186ml/時が出て、血行動態は安定していた。術中の大量出血には我々の回収式自己血輸血法で対応できた。術後腎障害を11例、対麻痺を5例に認め、病院死亡が6例あったが、遠心ポンプと関係はなかった。従来の部分体外循環法や一時的体外バイパス法と比較しても有用性が確認された。