抄録
アニオンリビング重合によって合成し、ラメラ状のミクロドメイン構造を有するHEMA-Stブロック共重合体の血小板活性化抑制機構を明確にするために、PSt、HEMA-Stランダム共重合体を対照群として、材料表面に接触した血小板及び長時間粘着した血小板の形態変化について、透過(TEM)及び走査電顕(SEM)を用いて解析した。血小板とポリマービーズとの相互作用はマイクロスフィアカラム法を用いて行った。血小板流速は0.1ml/分×15分と0.5ml/分×3分で行った。接触血小板をTEMにて、粘着血小板をSEMとTEMにて解析した。その結果、ブロック共重合体は血小板流速の違いを問わずPSt、ランダム共重合体に比べて血小板の形態変化を著しく抑制することが明らかになった。このことから、ブロック共重合体の血小板活性化の抑制機構は、アクチン重合、アクトミオシン収縮のような血小板細胞骨格成分の再構成の抑制によることが考えられた。