人工臓器
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形状記憶樹脂を用いた人工栓の開発:非開胸的動脈管閉鎖術への臨床応用を想定したin vivo評価
越後 茂之松田 武久神谷 哲郎黒江 兼司布施 茂登小笹 浩依田 隆一郎
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1992 年 21 巻 1 号 p. 181-185

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抄録

形状記憶樹脂を動脈管閉鎖用の人工栓として使用する経静脈的動脈管閉鎖術の開発を試み, イヌに作成した人工血管による大動脈・肺動脈間短絡の経静脈的閉鎖術を施行して, 臨床応用を想定したin vivo評価と問題点の検討を行った。形状記憶樹脂に硫酸バリウムを添加した新しいタイプの人工栓は透視下で充分に形態の確認が可能であった。ロングシースに沿って細く変形した人工栓をプッシングカテーテルで短絡へ挿入することは容易であった。短絡へ排出された人工栓にカテーテルから45℃に加温した生理食塩水を吹きかけると開大し, カテーテルやワイヤー抜去後も安定して短絡に留まった。閉鎖術後の大動脈造影では, 5頭のうち3頭が完全閉鎖であり, 2頭は部分閉鎖であった。術後の解剖では, 人工栓の円錐状シートは充分開大して元の記憶された形状になっており, 予想した作動性能が確認された。人工栓の大動脈側ならびに肺動脈側の人工血管内には血栓が認められた。

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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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