人工臓器
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急性大動脈解離に対するリング付き人工血管使用の利点と問題点
安達 秀雄尾本 良三横手 祐二木村 壮介許 俊鋭野田 裕幸長谷川 和康
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1992 年 21 巻 1 号 p. 249-253

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抄録
最近の4年間にリング付き人工血管を急性A型解離13例、急性B型解離破裂3例の計16例に使用し、手術を実施した。手術近接期に6例が死亡し(このうち2例は心停止後の手術例)、死亡例中の1例にリング部内膜の断裂を認め、再破裂に関与した可能性が考えられた。手術遠隔期には10例中2例に、グラフトの屈曲による溶血と残存解離腔の拡大により再手術を要した。リング付き人工血管使用手術は人工心肺時間が短く、縫合による出血がないため、特にpoor risk症例に有用と考えられる。しかし、グラフトサイズの選択には注意を要し、弓部置換手術を考慮する症例には適さないなどいくつか問題点もあり、急性解離に対するリング付き人工血管使用手術の適用については慎重に検討を重ねる必要がある。
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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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