人工臓器
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ガラス状カーボンステントを用いたイントラルミナルグラフトの胸部大動脈瘤手術への臨床応用の研究
勝本慶 一郎新堀 立ミンハズ ウッディン
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1992 年 21 巻 1 号 p. 254-258

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抄録
生体親和性の大きなガラス状カーボンパイプをステントに加工して用い、術中プレクロッティングした人工血管の一端にはめ込み、グラフトとステントが外れないように固定し、sutureless intraluminal graftを作成した。手術リスクの高い腹部大動脈瘤に対してY型人工血管の中枢端にはめ込み、スーチャーレス的に大動脈に結合させる臨床応用の成績が良好であったので、今回、胸部大動脈への植込みにも応用した。カーボンステントを結合したグラフトは胸部大動脈の末梢側のみに使用し、中枢側は、宿主血管とグラフトとを手縫いで吻合した。胸部下行大動脈瘤3例、弓部分岐再建を含む胸部大動脈瘤2例に応用した。全身的にヘパリンを使用したが、術中出血量は、430-1500gと少なく、術後の経過は良好で合併症も見られなかった。現在、最長3年の外来フォローアップ期間があり、市販のringed intraluminal graftと比較して、術中操作性と安全性に優れていることが分かった。
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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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