1987年1月から1990年6月までに, 米国ロスアンゼルス小児病院において160例の新生児重症呼吸不全患児にV-A方式でECMO治療をおこなった。対象疾患は, 胎便吸引症候群76例, 呼吸窮迫症候群24例, 横隔膜ヘルニア21例, 肺炎及び敗血症31例, 心疾患4例, その他4例であった。適応基準はOxygenation Index>40とし, 種々の薬物治療に反応せず, 呼吸器治療の限界と考えられた症例も適応とした。ECMO開始時間は平均生後45時間であり, 横隔膜ヘルニアのみ平均18時間で, 早期からECMOを必要とした。また平均ECMO使用時間は125時間であった。全体の生存率は84%であり, このうちの92%に新生児原発性肺高血圧症(persistent pulmonary hypertention of the newborn (PPHN))を認めた。疾患別生存率では, 横隔膜ヘルニアの67%と敗血症の68%とが平均値を下回った。これらの結果から従来の呼吸管理法によっては救命不可能と考えられる重症呼吸障害患児に対し, ECMO治療は有用であり, 特にPPHNを伴う呼吸不全患児には極めて有効と考えられた。