人工臓器
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人工血管の開存性・器質化評価法(ウサギ頸動脈スリーブ吻合法)の作出
坂本 俊子片見 一衛奥田 泰弘山之内 昭介熊田 敏彦
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1992 年 21 巻 1 号 p. 262-267

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抄録

人工血管の生体適合性評価法の作出を目的として、ウサギ頸動脈にexpanded polytetrafluoroethylene (EPTFE)などのグラフトチューブをスリーブ血管吻合法を用いて置換し、血液・組織適合性を走査電顕的および光学顕微鏡的に評価した。スリーブ吻合には、外スプリントを覆うように反転した動脈をグラフトチューブに挿入し、結紮固定する方法を用いた。EPTFE(内径2~3mm)を置換後5~120分における内腔面での血栓形成、1~7日後の開存率、ならびに4~8週後の器質化を検索したところ、手縫い吻合法での成績と類似点が多く見られた。次に、グラフト材料(内径2mm)の開存率は、EPTFE≒多孔性ポリエチレン>無孔性ポリエチレン>無孔性ポリウレタンの順であった。
以上の結果、本法は、置換後早期における小口径人工血管の血栓性、開存性および器質化評価法として簡便かつ再現性が高く、有用であると考える。

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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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