人工臓器
Online ISSN : 1883-6097
Print ISSN : 0300-0818
ISSN-L : 0300-0818
多孔質人工血管基材におけるプラスミン処理フィブリンマトリックスの効果
江崎 祐造高野 良仁西原 勝紀高橋 誠片倉 健男
著者情報
ジャーナル フリー

1992 年 21 巻 1 号 p. 268-274

詳細
抄録

試作したporosity 2000と3200ml/cm2/minの多孔質基材及び1500ml/cm2/minのSauvage FXS Bionit(USCI社製)に、プラスミンで部分消化したフィブリン(以下PFとする)を付与し、家兎及び犬へ移植することにより、ハンドリング性、血液適合性、組織修復性等について検索した。その結果、PFを付与する事により、本来基材が有しているハンドリング性を損なうことなく、血液漏出は防止できる事が判明した。また、家兎での移植実験の結果から、早期に新生内膜が形成され、その後6ヵ月まで閉塞、狭窄等は一切認められないことを確認した。さらに、犬への移植実験により移植後3ヵ月まで良好に開存することを確認した。以上より、PFを多孔質人工血管基材に付与することにより、プレクロット操作が不必要であるばかりでなく、早期新生内膜形成能に裏打ちされた長期開存性が期待できる人工血管開発が可能であることが示唆された。

著者関連情報
© 一般社団法人 日本人工臓器学会
前の記事 次の記事
feedback
Top