人工臓器
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改良型ポリウレタン人工血管の開発
―透析用ブラッドアクセスとして―
中川 芳彦太田 和夫河合 達郎大阜 直寺岡 慧阿岸 鉄三
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1992 年 21 巻 1 号 p. 275-280

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抄録
われわれはポリエステル繊維(PE)を骨格としポリエーテル型ポリウレタンを主素材とする人工血管(PE-PEUG)を開発し、頻回の穿刺にも耐え得る透析用人工血管として前回報告したが、縫合針および穿刺針の刺入抵抗の増加といった新たな問題が起きてきたため、PEの密度および太さをさらに調節することにより刺入抵抗をより小さくした人工血管(改良型PE-PEUG)を新たに試作した。さらに、ゼラチンの新生内膜促進作用に着目し、グラフトの全面にゼラチンを被覆した。物性試験において十分な物理的強度を備えかつ穿刺、縫合も容易であることが示された。動物実験(犬)で縫合、穿刺は容易で止血性も良好であることを確認した。術後、10ヶ月間の観察において、開存性は良好で動脈瘤、血清腫の発生、破裂などの合併症はなかった。9ヶ月後までの摘出標本の観察において吻合部新生内膜の伸長は良好で、ゼラチンの有用性が示唆された。
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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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