人工臓器
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皮下脂肪組織細切片によりシールされた高有孔性人工血管
野一色 泰晴山根 義久梶原 博一星野 和実石井 正徳市川 由起夫鈴木 伸一小菅 宇之孟 真井元 清隆富山 泉山崎 一也近藤 治郎松本 昭彦
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1992 年 21 巻 1 号 p. 285-289

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抄録
高有孔性布製人工血管は種々の優れた性質があるが、術中、術後の出血の問題があり臨床では余り使用されない。我々はこの原因がPreclottingにあるとして、Preclottingに変わるシール方法を開発した。方法としては、自家皮下脂肪組織を細切し、人工血管繊維間隙に圧注入して絡め、Preclottingの代わりのシールとするもので動物実験の結果、出血問題はまったく生じなかったばかりか、人工血管全面にわたる良好な内膜治癒が得られた。対照としたPreclottingを行った人工血管では21%に術後の出血死がみられたほか、出血死しないまでも人工血管周囲の血腫がみられた。皮下脂肪組織は動物種、年齢、栄養状態等によっても異なるため、この結果を直ちにヒトへの臨床応用へ結び付けることは出来ないが、自家組織による人工血管のシール法の道を開くものである。
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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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