人工臓器
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自家静脈片播種型人工血管の新生血管壁形成過程とその長期例の検討
野一色 泰晴山根 義久梶原 博一星野 和実石井 正徳市川 由起夫鈴木 伸一小菅 宇之孟 真井元 清隆富山 泉山崎 一也近藤 治郎松本 昭彦
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1992 年 21 巻 1 号 p. 290-294

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抄録
自家静脈片を細切し, 布製人工血管に播種して植え込むと内膜治癒が急速に進行する. これまでの基礎研究でこれを明らかにしたことから次の問題としてこの型の人工血管における新生血管壁の特徴とその長期例での壁の変性, 石灰化, 破裂, 自家組織片による弊害について検討した. 方法として成犬頸静脈を採取し, 細切して20ccの生理的食塩水にいれて組織細切片浮遊液を作り, これを高有孔性人工血管内に圧注入することにより, 組織片を人工血管壁に絡めた. 次にPreclotting操作によって網目をシールし, 頸静脈を採取した同一犬の胸部大動脈へ自家移植の形で植え込み, 35頭の動物から植え込み直後より495日に至るまでの試料を採取し対照のPreclottingのみを行った25頭の成犬から得られた試料を対比した. その結果内膜治癒は良好であるばかりか, 光顕的にも変性像は認められず長期間にわたって安全であることが確認された.
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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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