抄録
気管補填材として、生体内吸収性材料と非吸収性材料を、創傷治癒の面から比較検討した。吸収性材料としてポリグリコール酸mesh(以下PGA-mesh)を、非吸収性材料としてMarlex® mesh(以下PP-mesh)を使用し、犬の頸部気管に1cm×1cm大の窓状置換を行って、治癒状態を観察した。肉眼的には、術後3週までは両mesh間に差は見られず、両meshは共に組織により完全に覆われた。6週で、PP-mesh群では結合組織による肥厚が僅かながら認められるようになり、9週以降では置換部の瘢痕様組織による引きつれ像が、PGA-mesh群に比べ明かとなった。光顕的には6週で両群とも上皮が全面を覆った。このうちPP-mesh群では立方上皮が目立ち、9週以降も上皮の丈が低く、15週でも繊毛を有さない部位が残った。また上皮下の結合組織層が、6週目よりPGA-mesh群に比して厚くなった。一方PGA-mesh群ではより正常に近い上皮となり、上皮下の結合組織も厚くならなかった。