人工臓器
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膜型人工肺と部分体外循環による生命維持法(Extracorporeal life support)の基礎的、臨床的研究
寺崎 秀則大津 哲郎岡本 泰介赤須 弘幸森岡 亨
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1992 年 21 巻 1 号 p. 38-42

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抄録

膜型人工肺と部分体外循環による生命維持法(extracorporeal life support, ELS)の出血防止と簡便化の研究並びに臨床成績について報告した。ヘパリン結合の緻密膜中空糸外部潅流式人工肺と回路による長期ELS(V-Aバイパス、ヤギ)では、ヘパリン投与量(23.4±4.2U/kg/hr、mean±sd、n=5)は従来の方法の半分以下に減少した。ヘパリンの代りに大量のNafamostat mesilate (FUT, 7.3±0.8mg/kg/hr、mean±sd、n=7)投与で、イヌのELSを実施できた。ヘパリン結合人工肺ならびにFUTは、患者の出血防止に有効であった。ELS簡便化のため予め充填保存し、電気や動力ポンプのいらない手動体外循環法を開発した。1年充填保存後も人工肺のガス交換能は維持された。ELS症例は43例で、その内訳は呼吸補助26例(新生児9例、小児・大人17例)、循環補助17例、救命率は46%であった。ELSは優れた生命維持法である。これを発展させることにより有効な治療法となる。

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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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