1992 年 21 巻 1 号 p. 68-72
当院における心移植待機症例での補助循環適応の可能性を検討するとともに、これまでの開心術後の心室補助の経験から心移植へのブリッジとしての補助循環の問題点を検討した。大阪大学心臓移植適応検討会で検討した20例を対象とし、待機中に心不全で死亡した6例とその他の14例を比較した。検討会の時点における左室駆出率(EF)・心拍出量(CI)・心室サイズでは両者間に有意差はみられなかったが、死亡群では全例(6/6)で検討会までにカテコラミンを要していたのに対しその他では2/14のみであった(p<0.01)。以上より心移植待機症例では、EFやCIから経過中の死亡を予想するのは困難であったが、カテコラミンを要するようになれば補助循環の適応を考慮に入れる必要があると考える。1984年以降、開心術後の心室補助は23例経験した。その主な合併症は出血9、血栓(脳梗塞)3、右心不全2、感染1であり、これらがブリッジとしての心室補助でも問題になると思われる。