抄録
人工弁置換術後の慢性血管内溶血に関してハプトグロビン製剤の投与により弁位のちがいによる溶血の差について検討をおこなった。Bjork-Shiley弁による僧帽弁ないし大動脈弁単弁置換症例各10例を対象とした。ハプトグロビン投与直後の血清ハプトグロビン値(Hp-Max)は僧帽弁置換群(M群)247.7±123.1mg/dl, 大動脈弁置換群(A群)232.2±90.1mg/dl(NS)と差はみられなかったが, ハプトグロビン消失率(?Hp/?t(mg/dl/hr))はM群14.4±2.4mg/dl/hr, A群17.7±2.6mg/dl/hr(P<0.01)と両群間に有意の差がみられ, ハプトグロビン消失時間についてもM群17.8±4.2時間, A群13.4±2.9時間(P<0.05)と有意の差を認めた。このことよりBjörk-Shiley弁においては僧帽弁位に比べ大動脈弁位での溶血の亢進が示唆され, 置換弁位のちがいによる慢性血管内溶血の差の評価に本負荷試験が有用であった。