抄録
右心耳(RAA)は, 心房ペーシングの電極留置部位として一般的であるが, 電極移動頻度は7-19%と報告されている。安定性を損なう理由に, RAAの解剖学的個体差がある。われわれは, 右心耳に代わって, 上大静脈右心房接合部付近(JSVC)で, 安定したペーシングが得られるかを検討した。雑種成犬のRAAおよびJSVCに心筋電極を縫着してペーシングを行ったが, 両者のペーシング, センシング閾値に有意差は無かった。SVCペーシングリード(10.5Fポリウレタン製)の先端はspiral状で, 4極の電極を持つ。このリードを, 外頸静脈より挿入しJSVCへ留置した。留置は容易でペーシングは安定していたが, 突然15分後にペーシング不全を来たした。これは体温の影響によるリードの変形と考えられ, このために長期のペーシング安定性は検討できなかった。今後は, カテーテル素材の検討を踏まえた, ペーシング安定性の検討が課題である。