人工臓器
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脳分離体外循環による弓部大動脈瘤手術
田中 稔竹内 栄二渡辺 孝堀田 壽郎松浦 昭雄田嶋 一喜柵木 隆志碓氷 章夫澤崎 優平手 祐市大原 康壽高木 靖阿部 稔雄
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1992 年 21 巻 2 号 p. 742-746

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抄録
当教室で1986年7月から1991年4月までに脳分離体外循環(SCP)下に手術を行った19例を対象として、その安全限界について検討した。SCPの方法は、両側の浅側頭動脈圧をモニターし、右腋窩動脈、左頸動脈、大腿動脈からそれぞれ別個のポンプを用いて送血した。SCP時間は161.6±40.4分、右頸動脈領域への送血量は5.3±1.4ml/min/kg、右浅側頭動脈圧は54.5±11.2mmHg、左頸動脈領域への送血量は平均5.2±1.9ml/min/kg、左浅側頭動脈圧は平均56.0±11.7mmHg(n=11)、最低鼻咽頭温20.5±1.5℃であった。手術成績は、術後30日以内の死亡2例、31日以降3例であった。緊急例で左総頸動脈へのカニューレ挿入に難渋した1例に脳合併症を認めた。浅側頭動脈圧50mmHg、左右総頸動脈への送血量各々5~6mm/kg/min、鼻咽頭温20℃のSCPは、2時間までは、また、同様の温度条件下で行う体環停止は1時間までは安全であった。しかし、緊急例では一層迅速に行い得る脳保護法が必要であった。
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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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