抄録
肝細胞培養系を利用するハイブリッド人工肝臓を開発するためには、高度な分化機能発現と長期生存性を有する肝細胞の高密度培養系の確立が必要となる。我々は、既にアシアロ糖タンパク質モデル材料として設計された人工基質材料PVLA(poly-N-p-vinylbenzyl-D-lactonamide)上で、ラット肝細胞が長期生存性と高機能発現性を有する多層集合体を形成することを見い出した。今回、我々はハイブリッド人工肝臓の開発を目的に、PVLAをコートしたホローファイバーを用いて、ラット肝細胞の灌流培養を試みた。PVLAコートホローファイバー上で肝細胞は、伸展することなく多層集合体を形成した。この多層集合体を形成した肝細胞は、コラーゲンコートホローファイバー上で伸展した単層の肝細胞に比べ、アルブミン合成分泌能、尿素合成能及びアンモニア処理能を8日間にわたり良好に維持した。このPVLAコートホローファイバーを用いた灌流培養システムは、ハイブリッド人工肝臓の開発にとって、有力なシステムに成り得るものと考える。