1992 年 21 巻 3 号 p. 1039-1044
Polyvinyl formal(PVF)樹脂多孔質体を用いる充填層型(packed-bed)リアクターを試作してその性能を評価した。平均孔径が100、250、500μmのPVF樹脂を2×2×2mm3に細切した担体250個を5mlのリアクター内に充填し、2.6~11.3×107個の肝細胞を播種して灌流培養を行った。対照としてコラーゲンをコートしたディッシュを用いる単層培養を行った。26時間の培養後に担体内の固定化肝細胞密度は、最大で1.2×107cells/cm3-PVFとなった。平均孔径が250および500μmの担体では、担体の中心部まで肝細胞が浸透して固定化されたのに対し、100μmの担体では細胞は主に表層付近に固定化された。100および250μmの担体では、細胞はリアクター内でほぼ均一に分布した。肝細胞のアンモニア代謝、尿素合成能は、高密度培養下においてもディッシュを用いる単層培養の細胞の代謝能にほぼ匹敵する値を示した。