抄録
ハイブリッド型人工肝臓開発上のブレークスルーポイントの1つである肝細胞の分化・増殖の制御を、人工細胞外マトリックス材料(PVLA)を用い検討した。その結果、肝細胞と親和性が高いPVLAのコーティング濃度を薄くすると肝細胞は伸展形態を示し、DNA合成の指標である3Hーチミジンの取り込みが亢進し, 分化機能の代表である胆汁酸の分泌能は低下した。逆にコーティング濃度を濃くすると、肝細胞は球形を保持したまま接着し、3Hーチミジンの取り込みが著明に抑制され、胆汁酸分泌量は逆に亢進した。またその時の接着基質の状態をFITCでラベルしたPVLAを用いレーザー顕微鏡, 光散乱, 接触角の測定等の検討結果から、高濃度系ではPVLAが高密度で、しかも集合体を形成した状態でシャーレ表面に吸着し、低濃度系ではPVLAの吸着密度はかなり低いものと推察された。PVLAを用いた肝細胞の分化・増殖性は、人工細胞外マトリックスPVLAの吸着量及び吸着状態の違いによって制御され得ることがわかった。