人工臓器
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透析低血圧症に対するドロキシドパ(DOPS)による治療
―薬物動態の検討―
椿原 美治飯田 喜俊岩本 一郎今田 聰雄田中 善白井 大禄鈴木 正司平沢 由平
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1992 年 21 巻 3 号 p. 843-849

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抄録

norepinephrine(NE)の前駆体として開発されたDOPSは、慢性HD患者にみられる透析低血圧症(HIH)に対しても極めて有効であることを認めた。DOPSおよびその代謝産物は腎排泄を受けるが、腎不全病態での薬物動態の検討はなされていない。そこで、実験的腎不全ratおよび慢性HD患者を対象に、DOPSおよびその代謝産物を検討した。その結果、腎不全病態においてもDOPSの代謝に大きな影響はなく、腎不全ratにおいても活性体の臓器内蓄積は見られなかった。また、HD患者では、少なくとも週3回のHD前300mgの投与では、いずれの蓄積も懸念する必要は無いものと考えられた。DOPS投与後、血漿NE濃度は24時間高値を持続し、HD中のHIH、およびHD終了後の自覚症状の改善効果も、NEの血中濃度の推移から妥当なものと推測された。また、長期投与でも、NEの著明な高値を呈する例はなく、何ら副作用も認めず、効果の減弱も見られなかった。

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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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