抄録
慢性血液透析患者にエリスロポエチンを長期投与したときの血管内皮に与える影響の有無を明らかにしようとした。慢性血液透析患者30名, 平均年齢53歳にエリスロポエチン(中外製薬)1500-3000単位を毎透析終了時, 12週間静脈内投与した。投与前ヘモグロビン濃度は6.4±0.5g/dlで投与4週で8.1±0.1g/dl, 12週では9.5±0.2g/dlだった。透析前後血圧は有意の変化を示さず, エンドセリンは前24.9±8.6pg/ml, 4週20.1±7.4pg/ml, 12週14.7±3.4pg/mlと有意に減少, ANP, ALD, PRA, は不変, ATII, ADHは平均値は減少した。血液粘度は4週, 12週とも有意に増加した。第VIII因子は95.4±12.8%から75.8±25.6%, ATIIIは96.9±12.0%から79.3±12.4%, α2PIプラスミン複合体は0.90±0.47mg/dlから0.55±0.27mg/dlへと減少した。PT, PTT, 第VII因子は不変Fbg, βTG, PF4, TAT, プロテインSは平均値は減少し, プロテインCは4週で有意に減少した。エリスロポエチン投与により, 凝固の亢進と一過性の凝固・線溶の亢進が観察された。しかしエンドセリンは増加せず, 血管内皮の障害の増強を示唆する成績は認められなかった。