人工臓器
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持続的血液透析(CHD)施行中の凝固線溶系の検討
重本 達弘嶋岡 英輝安宅 一晃河崎 収佐谷 誠西村 清司
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1992 年 21 巻 3 号 p. 839-842

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抄録
持続的血液透析(continuous hemodialysis: CHD)は循環動態に与える影響が少なく, 溶質除去能にも優れることから, 多臓器不全の一分症としての急性腎不全に遭遇する機会の多い集中治療領域では, 従来の血液透析にかわり普及してきている。しかし多臓器不全症例では凝固線溶系の異常を伴うことが多く, 持続的な体外循環のおよぼす影響について懸念される。急性腎不全を伴う多臓器不全症例にCHDを施行し, 凝固線溶動態について検討した。凝固線溶パラメーターとして, FPA, FPBβ15-42, TAT, FDP-D-dimerを測定した。各マーカーおよびFPA/FPBβ15-42比の検討から, 開始後24時間までは, 抗凝固剤の使用により凝固線溶活性の亢進が抑制されていたが, 24時間後には抑制は十分でなく, 回路内凝固の活性化の影響をうけていたことが推察された。CHDを施行する多臓器不全症例の全身管理にあたっては, フィルターの交換や抗凝固剤の量等への配慮が必要である。
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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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