人工臓器
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On-line HDFの基礎的検討
中村 藤夫阿部 町子遠藤 信之中川 一郎古川 守保科 繁池田 裕浦野 壽夫鈴木 正司平澤 由平岩堀 正
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1992 年 21 巻 3 号 p. 914-920

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抄録

軟水・RO水を用い、同時に毎日充分な重曹タンクの洗浄消毒を行うことにより作製した透析液を、最終的にcut-off point 6,000 daltonのUFフィルター2本を通して清浄化した。本法によって得られた透析液は、日本薬局方の輸液レベルを上回る清浄度を示した。さらにこの透析液とポリスルホンダイアライザーを用いた血液透析の前後では、血漿エンドトキシン(ET)(4.1±1.8pg/ml, 1.8士0.9pg/ml)、IL-1β(9.3±5.1Pg/ml, 9.3±4.gpg/ml)、血清アミロイド蛋白A(SAA) (12.9±4.2μg/ml, 9.8±5.3μg/ml)の有意な上昇は認やられなかった。またこの透析液をさらに2本のUFフィルターを通過させた後にダイアライザーを介して補充液として注入する血液濾過透析(on-line HDF)を試みた。このon-line HDF前後でも、ET(3.1±1.gpg/ml, 2.3±1.1pg/ml)、IL-1β(11.0±6.7pg/ml, 8.3±15.6pg/ml)、SAA(10.8±4.8μg/ml, 7.9±4.3μg/ml)の上昇は見られなかった。以上の結果より、我々の方法で作成した透析液は市販の輸液剤レベルまでの清浄度を充分達成し得ることができた。さらに2本のUFフィルターに通して限外濾過し、そのまま補充液として使用することも可能であった。

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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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