人工臓器
Online ISSN : 1883-6097
Print ISSN : 0300-0818
ISSN-L : 0300-0818
グルコース感応性高分子間コンプレックスを利用した新規インスリン徐放システムの開発
北野 茂片岡 一則小山 義之横山 昌幸岡野 光夫桜井 靖久
著者情報
ジャーナル フリー

1992 年 21 巻 4 号 p. 1328-1333

詳細
抄録

グルコース濃度を感知するセンサー部位として多価水酸基含有化合物と可逆的な共有結合能を有するボロン酸基を導入した新規高分子材料を合成し, 新規インスリン放出デバイスとしての応用を検討した. ボロン酸基を導入したポリN-ビニルピロリドン誘導体(poly (NVP-co-PBA))は, ポリビニルアルコール(PVA)とのコンプレックス化により水不溶性のゲルを生成し, グルコースの添加によりゾル状へと転移した. ポリマーコンプレックス解離速度は, グルコース濃度が高いほど速いことが観察された. さらに, 生理的なpHにおいてのコンプレックス形成能の向上のために, アミノ基を導入した新規ボロン酸基含有ポリマーを合成した. このポリマーは, pH=7.4においても安定なコンプレックスゲルを形成した. このゲルに, FITC-インスリンをloadingし, 放出挙動を解析したところ, グルコース添加により, 放出量の顕著な上昇がみられ, グルコース応答性インスリン放出システムとしての基本特性を有していることが明らかとなった.

著者関連情報
© 一般社団法人 日本人工臓器学会
前の記事 次の記事
feedback
Top