抄録
セルローストリアセテートを膜素材とした、ハイパフォーマンス膜の孔半径を、従来の70Å(FB-U)から75Å(FB-F)に拡大した改良型透析器について、溶質除去性能、生体適合性を長期透析患者6名を対象に、4週間のクロスオーバー試験で検討した。小分子量物質のクリアランス、除去率に差は認められなかったが、低分子蛋白ではβ2-MGのクリアランス、除去率、ふるい係数、ミオグロビンのクリアランス、除去率がFB-FでFB-Uに比し有意に上昇していた。一方β2-MGの透析前値はFB-Fで有意に減少、その結果β2-MGの透析液中への除去量に両透析器間では差はなかったが、アルブミンの除去はFB-Fで6g/回と約3倍に増加した。治療中の白血球、血小板数、顆粒球エラスターゼの変動は両群とも軽度に留まり、捕体C3aに透析開始後15分の静脈側で軽度の上昇がみられた以外、C5aを含め変化は認められなかった。以上より、FB-F透析器は小分子量物質の高い除去効果と優れた生体適合性を保持したまま、低分子蛋白領域のより高い除去性能を達成したといえる。