日本小児血液・がん学会雑誌
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委員会報告
本邦における小児がん患者の食事栄養管理に関する現状
―JCCG施設調査より―
鈴木 孝二福島 啓太郎山本 暢之篠田 邦大矢野 道広石田 裕二大曽根 眞也嘉数 真理子加藤 陽子斎藤 雄弥佐野 弘純澤田 明久新小田 雄一森 尚子福澤 正洋
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キーワード: 小児がん, 食事栄養管理
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2021 年 58 巻 2 号 p. 175-181

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抄録

【目的】本邦の小児がん患者に対する化学療法中の食事栄養管理指針の作成に向けて,現状を把握するための全国調査を行った.【方法】2017年4月~7月に日本小児がん研究グループ(Japan Children’s Cancer Group; JCCG)支持療法委員会より参加153施設の診療担当者に対してSurvey Monkey®を利用した食事栄養管理に関するWeb調査を実施した.【結果】調査対象となった153施設のうち110施設(72%)112診療科(内科系106診療科,外科系6診療科)から有効回答を得た.ほとんどの診療科で化学療法中に食事制限が行われ,その開始時期は「化学療法開始時から」が47%,「好中球500/μL未満から」が46%であった.持ち込み食は条件付きを含め90%の診療科で許可されていた.非加熱食品は制限されることが多かったが,牛乳,発酵飲料,密封されている惣菜や弁当,家人の手料理については対応が分かれた.栄養士または栄養サポートチームがいる診療科であっても,全ての患者に介入しているのは4割程度だった.【考察】小児がん診療における食事栄養管理について,本邦で施設によるばらつきが大きいことが分かった.今後,JCCG参加施設間で共有可能な指針が必要と考えられた.

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© 2021 日本小児血液・がん学会
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