人工臓器
Online ISSN : 1883-6097
Print ISSN : 0300-0818
ISSN-L : 0300-0818
中空糸透析膜のζ電位測定の改良
鈴木 庸子小久保 謙一萩原 一仁金森 敏幸酒井 清孝
著者情報
ジャーナル フリー

1993 年 22 巻 1 号 p. 53-57

詳細
抄録

中空糸膜の荷電状態は、一般的にζ電位により評価されている。しかし、その測定方法は未だ統一されておらず、報告者によって値が異なっている。本研究では、ζ電位の測定値に影響する操作因子の影響を明らかにし、標準的測定法を確立することを目的とした。ζ電位を算出する基となる中空糸両端の圧力差および電位差(流動電位)は、測定セルへの膜の充填方法、セルの組立方法、および流動液組成により大幅に変化し、得られるζ電位は異なった。通常流動電位測定に用いられる流動液(0.01規定KCl水溶液)では流動電位の経時変化が著しく、その1/1000程度の導電率の流動液を用いなければ測定値は安定しなかった。膜素材の異なる8種類の中空糸透析膜について、新しく確立した標準方法でζ電位を測定したところ、リン酸イオンの溶質透過係数と良好な相関関係が得られた。
標準手法で測定したζ電位を用いることにより、荷電膜の評価が可能であると思われる。

著者関連情報
© 一般社団法人 日本人工臓器学会
前の記事 次の記事
feedback
Top