人工臓器
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超極細ポリエステル繊維を使用した人工血管の臨床使用経験
佐藤 伸一丹生 智史神田 圭一平井 二郎高橋 章之中嶋 俊介島田 順一岡 隆宏野一色 泰晴
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1993 年 22 巻 2 号 p. 445-448

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抄録
血行再建術では人工血管のporosityが大きいほど器質化に有利で、また吻合の操作が容易となるためニット製の人工血管を利用する傾向にある。しかし、ニット製の人工血管の長期間使用例でダクロン繊維の劣化に伴う人工血管の瘤化の報告が近年散見されるようになってきた。またニットの人工血管は長期になると口径が大きくなり人工血管長の短縮をきたすなどの不利な点がある。そこで超極細ポリエステル繊維(UFPF)を含む平織りの人工血管(トレグラフト®)は一般のダクロン平織り人工血管より器質化が良好でありニットの欠点を克服したものでありこれを臨床使用した。胸部および腹部の大動脈瘤、および末梢動脈の再建術等に用いた。その結果、吻合に際して針の刺入し易さや宿主血管との適合性はきわめて良好であった。さらにE-PTFEに比してバルーンパンピングチューブの挿入用人工血管としても優れていた。
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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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