抄録
繊維長15, 30, 60および90μmのexpanded polytetrafluoroethylene(EPTFE)の内腔面における、初期での血栓膜形成状態ならびに遠隔期での新生内膜の器質化をウサギ頸動脈への置換により検索した。15μmは7日後でも繊維間隙への血液成分の滲み込みに乏しく繊維間には空隙が残存し、血栓膜形成は不完全・不安定であった。一方、30鋼以上では繊維間隙への血液流入が速やかに起こり、壁内血栓ならびにこれに連続する血栓膜が早期に形成された。15μmでは1年を経過しても内膜の器質化は不完全であったが、30即以上では3ケ月後には内膜はほほ器質化され、内皮化域も増大した。内膜厚は繊維長が長いほど増加する傾向を示したが、1年後の開存率は他の繊維長に比べ90μmで高かった。以上の成績から、長繊維長EPTFEは血栓膜の早期形成に、さらに、その後の器質化内膜の安定化においても優位であることが示唆された。