人工臓器
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慢性腎不全における体外循環中血液濾過法の検討
―簡略的方法の有効性について―
山崎 一也近藤 治郎井元 清隆梶原 博一鈴木 伸一磯田 晋矢野 善己山本 賢二松本 昭彦
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1993 年 22 巻 3 号 p. 1040-1043

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抄録

慢性腎不全(CRF)を合併した体外循環症例の体外循環中の腎不全の管理方法として人工心肺に簡略化した回路を組み込んで血液濾過(HF)を施行し、その効果について検討した。対象は術前に血清クレアチニン値(Cr.)が2.0mg/dl以上で体外循環中HFを施行した7例であった。HFは人工心肺の送血ポンプによる陽圧によって行い、平均濾過圧230±34mmHg、平均流量240±114ml/minが得られた。除水時間は平均138±81分で除水量は3220±1664(400-5500)mlであり、術前後の血清K, BUN, Cr.の変化量はK: -0.3±1.0mEq/l, BUN: -7.3±2.0mg/dl, Cr.: -1.2±1.5mg/dlであった。簡略化した方法のHFでも充分な濾過圧と流量が得られ, 迅速に充分な除水量を得ることができた。しかし溶質除去に関しては希釈や大量出血, 大量輸血の影響も有り、明確でなかった。本法の利点として、除水スピードが早く、人工心肺時間が短くても充分な量の除水ができる事が挙げられる。

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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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