1993 年 22 巻 3 号 p. 724-729
完全置換型人工心臓を自律神経情報に基づいて制御するための一つの方法として, 阿部らは, 人工心臓の拍出量を末梢血管抵抗の逆数に依存させるような制御方式を提案している. 本研究では, このような制御方式が制御工学的な立場から見て妥当であるかどうかについて, 循環系モデルを用いたディジタル・シミュレーションにより検討した. その結果, 阿部らの制御方式は, その制御パラメータの理論的決定法が示されていないものの, 循環系を2入力-2出力システムであると考えた場合の一種の非干渉化制御方式であるとみなせることを示した.