抄録
コンダクタンスカテーテルを用いた右心室圧容積関係から右心室のEmax(RVEmax)を測定し、左心補助中の右心機能について評価した。左心補助のOn Offによる評価のみにとどまらず、両心不全心を作成し、左心補助流量を変化させた時の右心室拡張終期容積(RVEDV)の変化とRVEmaxの変化との関係も検討した。正常心においては、左心補助によりRVEmaxは変化しなかったが、不全心では、左心補助によるRVEDVの増加に伴いEmaxの低下を認めた(395±0.93(mmHg/ml)vs. 3.00±1.36(mmHg/ml), p<0.05)。このErnaxの変化は、左心補助流量の変化よりも、RVEDVの変化に対してより鋭敏に相関した。不全心における左心補助では、右心室の後負荷が上昇した場合、RVEDV増加に伴う右心室拍出量増加よりも、RVEmax低下に伴う拍出量低下が顕在化することになる。これが臨床の場で遭遇する左心補助中の右心不全の本質ではないかと推測された。