2021 年 7 巻 2 号 p. A_354-A_361
都市部では,狭幅員で無信号交差点が多い道路に通過車両が流入し,周辺住民の安全性が脅かされている.こうした「抜け道」問題を緩和するには,ドライバーの意識変容が不可欠である.本研究では,その一方策として,ドライバーに抜け道利用によるメリットとデメリットに関する事実情報の提供を考え,愛媛県松山市を対象に,抜け道利用による所要時間短縮効果を検証すると共に,抜け道利用車の走行特性を分析した.その結果,混雑時に抜け道利用による所要時間短縮効果は,抜け道通行後に幹線道路への合流に伴う待ち時間や,幹線道路上の信号の系統制御によって小さくなることを確認した.また,抜け道利用車は頻繁に抜け道を利用すると共に,抜け道走行速度は幹線道路が渋滞時ほど有意に向上し,重大事故につながる可能性が高いことが明らかとなった.