抄録
リンパ球の表面抗原であるCD3に対する抗体と共に培養するとリンパ球は活性化され、癌細胞に対するCytotoxity(キラー活性)が上昇する。このことを踏まえ、体外循環によりキラー活性の誘導、免疫賦活システムの開発を目的に短時間でキラー活性を誘導するキラー活性誘導材の検討を行った。既に免疫抑制剤として臨床に用いられている抗CD3抗体(OKT3)、あるいはその部分タンパク質を担体に共有結合で固定化するとヒト末梢血より分離したリンパ球のキラー活性を高められることを見いだした。更にこのキラー活性誘導材は末梢血をそのまま接触させてもリンパ球のキラー活性を誘導することが可能であり、抗体由来のリガンドであるがリンパ球を吸着することのない処理条件でキラー活性を誘導することが可能であった。in vitroの結果ではあるが、癌治療の集学的治療の1療法としての可能性が示唆された。