人工臓器
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人工弁置換術後の抗凝固療法PT
―INRよりみたワーファリン療法の検討
中野 清治北村 昌也大塚 吾郎橋本 明政岩出 和徳青崎 正彦小柳 仁
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1994 年 23 巻 3 号 p. 602-605

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抄録
人工弁置換術後のワーファリン療法の治療域を、当施設ではトロンボテスト(TT)で10-25%(PT-INR 2.8-1.6)としている。一方国際的にはPT-INR 4.5-3.0が推奨されている。この違いを術後の合併症の頻度と血液凝固の点から検討した。対象はSt. Jude Medfcal弁、Björk-Shiley弁、生体弁による単弁置換術1554例である。また99例に対しthrombin-antithrombin 111 complex (TAT)、prothrombin fragment 1+2 (F1+2)をTTおよびPT-INRと同時に測定した。術後の血栓弁と血栓塞栓症の頻度は弁種によらず、欧米から報告されているのと同様に抵く、出血性合併症の頻度は欧米に比べ極めて低かった。従ってTT 10-25%は至適治療域といえる。しかしPT-INR 3.0以上の例ではTAT, F1+2とも全例正常なのに対し、TT 10-25%の患者のうち11%にTATが14%にF1+2が高値を示した。凝血学の面からはこれらの患者には治療域の再考が必要である。
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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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