人工臓器
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開心術における血液凝固とその制御
―nafamostat mesilate(FUT)の作用とヘパリンコーティングの生体適合性に及ぼす効果について―
宮本 裕治中埜 粛高野 弘志松田 暉
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1994 年 23 巻 3 号 p. 606-611

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抄録
開心術中に起こる凝固線溶系の賦活化などの種々の生体反応の抑制を試みた。1. nafamostat mesilate (FUT): 成人開心術において、FUT投与群(n=15)と非投与群(n=15)で、(1)血小板数(2)凝固系マーカー(TAT)と線溶系マーカー(PIC)(3)血管作動性物質(セロトニン、ヒスタミン、ブラディキニン)(4)術後出血量を比較した。2. ヘパリンコーティング: 実験ではヒト血(n=6)を用い、テルモ式コーティングのCPB回路とコントロールの回路で凝固系(TAT)、血小板(PF-4)、白血球(顆粒球エラスターゼ)、補体(C3a)について比較した。臨床では冠動脈バイパス術において、カーメダ式コーティング(n=15)とコントロール(n=15)で血小板数と凝集能・粘着能について比較した。結果:1. FUTには、血小板保護作用と線溶系抑制作用があり術後出血量軽減に有用で、また血管作動性物質の変動も抑制した。2. ヘパリンコーティングにより、実験では上記の全てのパラメーターが低値となり、生体適合性が向上することが示された。また、臨床においても血小板保護作用がみられた。
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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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