2018 年 74 巻 4 号 p. I_229-I_234
風の流れは非線形現象であるため,ある地点の風が次の瞬間にどう変化していくかを予測することは一般には難しい.ところが,地上の風速変動は大気境界層内の乱流現象の一部として出現するため,完全にランダムな現象ではなく乱流構造の通過に伴う「くせ」を持っている.本研究では,深層学習(ディープラーニング)の一つであるLSTM(Long Short-Term Memory)を用いて風速変動の「くせ」を学習させ,現在から10秒先までの風速変動の予測を試みた.また接地層乱流の性質を考慮しながら入力条件による予測精度の変化を検討した.リードタイムが長くなるにつれて予測精度は低下するが,適切な学習時間長さを設定したり,鉛直風速を入力条件に加えることが風速の予測精度を向上に寄与することが確認できた.