人工臓器
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遺伝子制御によるハイブリッド人工臓器としての異種移植の研究
林 衆治折原 明横山 逸男高木 弘
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1994 年 23 巻 3 号 p. 641-645

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抄録
異種臓器血管内皮細胞は、移植後超急性拒絶反応の最大のターゲットである。異種血管内皮細胞をヒト補体系の攻撃から守るためにヒト補体制御因子遺伝子(DAF,HRF20)をレトロウイルス法を用いてウシ血管内皮細胞(BAEC)に導入し、BAECでのDAF及びHRF20のexPression及びfunctionが検討された。遺伝子導入BAEC(BAEC/DAF,BAEC/HRF20)での遺伝子発現は、ヒト膀帯静脈(HUVEC)での発現と同程度であった。PI-PLC処理により、これらの発現は減少ないしは消失した。BAEC/DAFまたはBAEC/HRF20によるcomplement dependent lysisは、コントロールBAECと比較して著明に抑制されたが、ヒト血清にラビット補体を加えた場合、lysisはコントロールと同程度であった。以上より、DAFまたはHRF20をレトロウイルス法により導入された異種血管内皮細胞は充分の抗原発現を有し、種特異的にcomplement dependent lysisを抑制すると考えられた。
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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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