抄録
次世代型人工腎システムの1つとして連続的再循環腹膜透析(continuous recirculating peritoneal dialysis, CRPD)を開発した。CRPDでは患者腹腔内へいったん貯液した腹膜透析液の一部を新開発のダブルルーメンカテーテルを通じ体外循環し、外部ダイアライザによって積極的に溶質除去を行う透
析システムである。現在までに、(1)イヌ透析実験を通じCRPDの安全性、溶質除去特性などの性能評価を、(2)(1)で得られた結果をcompartment modelを用いたシミュレーショγ解析により腹膜ダイアリザンスを求め、実際に臨床応用した時の治療効果の推算を、(3)水溶液実験により試験ダイアライザの溶質除去特性を把握し、その結果からCRPD用外部ダイアライザの至適設計を行った。CRPDはCAPD同様、腹膜炎合併の恐れはあるものの、HDをはるかに超える性能をもち、原則的に抗凝固剤やブラッドアクセスを必要としないなどの多くの長所を有する治療法であることが確認された。