抄録
ポリエーテルセグメントとポリアミドセグミントからなる縮合系高分子材料のポリエーテルセグメント化ポリアミドで新たに作成した静脈留置針カテーテルを臨床使用し、従来市販静脈留置針と抗血栓性を電顕的に解析し比較検討した。その結果、治験カテーテルの透過型電子顕微鏡像で結晶-非結晶のミクロ分離構造(微結晶厚:6.5nm、長周囲:12nm)と均一表面結晶幅(約10nm)を呈していた。このため、従来使用静脈留置針カテーテルに比べ、走差電子顕微鏡による血栓形成度分類(9分類)による評価でも表在蛋白付着が均一で、血小板活性化による血栓形成が抑制されていた。この事は静脈留置針カテーテル等の長期に血液接触を余儀なくされるものへの医療材料として、ミクロ分離構造を有すポリエーテルセグメント化ポリアミドは優れた抗血栓性機能が得られることが示唆された。