抄録
我々は、末期癌の末梢血穎粒球数とリンパ球数の比(G/L比)を血液体外循環技術によって調節し制癌効果を得るG/L比変換システムを考案した。本研究では、本システムに用いた穎粒球選択吸着樹脂(酢酸セルロースビーズ)表面に付着した蛋白質の物理化学的性質について検討した。抽出蛋白質はそのヘパリン反応性と分子量分布およびイオン交換クロマト分析による静電的性質から、複合体蛋白質として発現する性質であることがわかった。ヘパリンを添加した抽出液中には、300kD以上の高分子量物質が36%の割合で存在しており、抽出操作中に形成されたと思われるヘパリン含有複合体であった。更に、in vitroにおいて、この複合体モデルを細胞性フィプロネクチンを用いた系で再現することに成功し、抽出物との相同性を強く示唆した。