人工臓器
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新たに開発した人工血管(PF-V)の犬移植実験
江崎 祐造高橋 誠小原井 裕樹塚本 敦子永井 博史高野 良仁片倉 健男若林 惣兵衛
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1994 年 23 巻 3 号 p. 763-769

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抄録
性を有する多孔質人工血管基材にプラスミン処理フィブリンを付与した新しい小口径人工血管PF-Vを開発した。PF-V基材はポリエステル系弾性糸により編まれた管状体(porosity 2700ml/cm2/min)に弾性フィラメント補強を施したものであり、従来の人工血管にはない優れたコンプライアンスを有する。今回は、開発した人工血管の機能を確認する目的で、内径4mmと5mmのPFI-Vを、内径5mmの市販人工血管Sauvage EXSを対照として、ヘパリン等抗凝固剤を一切使用せずに犬血管に移植し、ハンドリング性、血液適合性、組織適合性等について移植後9ヶ月まで検討を行った。その結果、PF-Vはプレクロット操作なしで移植が可能であることを確認し、開存率はSauvage EXSで70%に対し、PF-Vでは100%であった。組織検索により新生内膜形成状態はPF-Vで良好であった。以上より、PF-Vは長期開存が期待される小口径人工血管となりうることが示唆された。
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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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