抄録
Hb小胞体中の高純度Hbのメト化抑制のために、α-tocopherol(α-Toc)とGlutathione(GSH)の使用を検討した。卵黄レシチンを膜成分として用いた系では、α-Toc添加により脂質の過酸化が抑制され、met-Hb生成速度は低下する。しかしDPPCなどの飽和型脂質を用いた系の方がmetHb生成速度は低くなる。
GSHはmetHbを還元する一方、酸素酸化過程で生じる活性酸素種が逆にmetHb生成を促進する。Hb濃度を高くして還元速度を高め、酸素分圧を低くしてGSHの酸素酸化を抑制することにより、GSHによるmetHb生成を効果的に抑制した。Hb溶液系で最適なGSH添加条件を明らかにし、これをHb小胞体に適用することによりmetHb生成速度をGSH未添加系の半分以下に低下させることができた。